
「最近、疲れやすくなった」「少し動いただけでしんどい」 更年期に入ると、こうした体の変化を感じる方が増えてきます。
以前と同じように過ごしているのに、体が思うようについてこない。 無理に動こうとすると、翌日に疲れが残り、 つい横になりたくなったり、何もしたくなくなったりすることもあります。
そんなとき、「もっとがんばらなければ」と自分を追い込んでしまう方も少なくありません。 しかし、更年期はがんばり続けることで乗り切る時期ではありません。
むしろ大切なのは、体に大きな負担をかけずに、 「動ける状態」を保ち続けることです。

結論:
更年期の身体には、「無理をする運動」よりも
やさしい動きと呼吸を組み合わせた習慣が、無理なく体を整える近道になります。
なぜ更年期になると体力が落ちたように感じるの?
更年期は、女性ホルモンの分泌が大きく変化する時期です。 その影響で、筋肉量や基礎代謝が少しずつ低下しやすくなります。
更年期に起こりやすい体の変化
- 筋力が落ち、疲れやすくなる
- 代謝が下がり、体が重く感じる
- 自律神経が乱れやすく、だるさや不眠につながる
これらは病気ではありませんが、「動かない → さらに動きにくくなる」 という悪循環に入りやすい時期でもあります。
激しい運動がつらいのは、気持ちの問題?
いいえ、そうではありません。 更年期の体は、急な負荷に適応しにくい状態にあります。
若い頃と同じ筋トレやランニングをしようとすると、 体が防御反応を起こし、疲労や不調として表れやすくなることもあります。
「やる気が出ない」「続かない」と感じるのは、
怠けではなく、体からの自然なサインの場合があります。
東洋医学では「動かない状態」をどう考える?
東洋医学では、体を支えるエネルギーを「気(き)」と考えます。
気にはいくつかの働きがありますが、特に重要なのが 「推動(すいどう)作用」です。
これは、血や津液(水分)を体の中で巡らせ、 内臓や筋肉が正常に働くよう支える力を指します。
体調がすぐれないとき、じっと寝ている方が楽に感じることがあります。 しかし、長く動かない状態が続くと、気の推動が弱まり、 かえって体が重だるくなることもあります。
気の主な働き
・推動(動かす)
・固摂(支える・保つ)
・温煦(温める)
・気化(代謝する)
・防御(外から守る)
更年期は、休みながらも「少しずつ動かす」ことが、 気の巡りを保つ大切なポイントになります。
更年期に向いている「やさしい運動」とは?
運動として構えなくても大丈夫です。 日常生活の延長にある動きで十分です。
- テレビを見ながら足踏み
- 洗い物中のかかと上げ
- 椅子に座って足首を回す
- 洗濯物を干しながら体を伸ばす

30秒〜1分を、1日に何度か。
「短く・こまめに」が、続けるコツです。
呼吸を意識するだけでも意味がある?
呼吸は、自律神経と深く関わっています。 特に吐く息をゆっくり行うことで、 体は自然とリラックスしやすくなります。
簡単にできる呼吸の整え方
- 鼻から4秒かけて吸う
- 口から6秒かけて細く吐く
- これを3回
やさしく整えていると、自然に動きたくなるときが来る
自分の身体や心の声に耳を傾けながら過ごしていると、 あるときふっと、気力が湧いてくる瞬間が訪れることがあります。
「もう少し歩いてみようかな」 「体を動かしたいな」 そんな気持ちが、無理なく自然に生まれてくる感覚です。
これは、体のエネルギーが少しずつ満ちてきたサインとも言えます。 呼吸ややさしい動きを通して気の巡りが整うと、 動こうとしなくても、体のほうから動きたくなるのです。
「更年期」は無理に当てはめなくていい
「更年期」と一言でまとめられがちですが、 その現れ方やつらさには大きな個人差があります。
「もしかして、これが更年期かもしれない」 そう思うことで気持ちが楽になることもあれば、 無理に枠にはめないほうが心地よい場合もあります。
やる気が起きない時期は、体と心が休息を必要としている時期かもしれません。 そんなときは、「がんばれない自分」を責めるのではなく、 今はそういう時期なんだなと受け入れて過ごしてみませんか。
整えることは、無理に前へ進むことではありません。 立ち止まることも、大切な調整の一部です。
まとめ
- 更年期は体の仕組みが変化する時期
- 激しい運動を無理して頑張らない
- 呼吸と動きで気の巡りを助ける
- まずは1日5〜10分からで十分
体調がすぐれない時や不安がある場合は、無理をせず様子をみたり、必要に応じて専門家に相談してみてください。
この記事を書いた人
鍼灸師としての経験を活かし、 体に負担をかけないやさしいセルフケアをお伝えしています。

